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生ききってみせろ

2013/6/8

福山市は鞆の浦にある「鞆の津ミュージアム」へ。現在、こちらで「極限の芸術」と題された死刑囚たちの絵画展が開催されており、その関連イベントとして友人作家・田口ランディさんのトークショーが開かれるのである。
広島のバスセンターから11:40の高速バスに乗り込んだ時は、昨夜、というか、今朝まで飲んでいた故、やや酒気帯び状態。
13:30、終点福山駅から、同時刻発、鞆の浦行きバスに乗り換えるのだが、停留所に停まっていたのは、「ネコバス」と見まごう愛らしいボンネットバスだった!
たま〜に運行しているらしく、車掌のオッサン(ボランティアガイド)によれば、日本最古の現役ボンネットバスだそうな。凄まじいエンジン音と馬車のような揺れ。とても乗り心地が良いとは言い難く、しかし、開け放たれた窓から流れ込んでくる風に乗って、いまこの瞬間にでも空に舞い上がるのではないかと思えるような、不思議な30分間。
「今日の旅は当たり」と直観す。
3年ぶりの鞆の浦は、初夏の光にうすぼんやりハレーションを起こし、これまた非日常感覚。「千とせ」で天ぷら定食を食い(ここは11年ぶりだ)、鞆の津ミュージアムで「極限の芸術」を鑑賞。死刑囚の作品、と言われなければ、案外フツーの素人作品群。どこかの公民館の「地域住民絵画展」みたいだなと、思いつつ見終わって、出口からもう一度展示スペースをふと振り返った時の衝撃は、たぶん一生忘れないだろう。「絵たち」からワーと無音の叫びが聴こえた感じがあり気圧されてしまった。
死にたくない────と。
彼らには、表現する理由が、歴然とあるのだ。

そこから逃げるような小走りで、裏手にある幼稚園講堂のトーク会場へ。
こんな長閑な港町にいったい何人来るのかと思ったが、意外にも、満席。100人ちょっと。
トークショーは2部構成で、前半は、ランディさんと交流(面会と手紙のやり取り)を続けている、元オウム信者で、地下鉄サリン事件実行犯として死刑判決を受けている林康男被告の手紙朗読。
抑揚や虚飾を排し、まさしく林死刑囚の独白のように淡々と読み上げられる、桃を食べて美味かったとか、中国人死刑囚への気遣いとか、そして、いつ執行されるかもしれない刑への恐怖が、おそろしいリアリティで迫ってくる。
後半は、ランディさん自身の「表現衝動」について。彼女の場合は、餓死という方法で自殺した兄の、腐乱死体にわいた無数のウジに見入ったことが、表現への衝動を呼び覚ましたと。ここらへんのくだりは、彼女の「サンカーラ」に詳しいので、読んでいただきたい。
仏教絵画で「九想図」というのがある。屋外に放置された死体が朽ちてゆく過程を九段階に分けて描いたもので、「無常を知る」「煩悩を滅する」などさまざまな目的があるようだが、ランディさんは、うごめく無数のウジにキラキラとした命の躍動を観たという。
不謹慎かもしれないが、死刑囚絵画も、林被告の手紙も、ランディさんの表現衝動も、最高に面白いと思った。
表現を自らの魂が欲している。彼らは皆、表現せざるを得ないのだ。僕は、そういう作品に魅せられてきた。
そして、僕も同じように表現している。表現のための表現ではない。
ランディさんは、林被告との往復書簡のラストで
「とにかく、生ききって欲しい」と綴っていた。そうか、と思った。これが彼女と僕の共作曲「Be Free〜生きてみせろ〜」に繋がっていたのだと。

写真:講演後ランディさんと。デンワやメールはときどきやり取りさせてもらっているが、こうして会うのは2年ぶり。撮影してくれたKさんは、たまたま僕の隣に座っていた方で、今日はなんと東京から。しかし、ランディさんのファンの女性は美人が多い!
写真

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三代目春駒/小林カズヒコ

Author:三代目春駒/小林カズヒコ
マーケティングコンサル、童話作家、声優、ミュージシャン、武術師範(心体育道小林道場師範)など、多方面のトップで活躍するハイブリッド系パフォーマー。能の謡(うたい)を京都在住の観世流シテ方能楽師、杉浦豊彦先生に師事。ちなみに「春駒」とは、芸者として博多で活躍していた祖母「春駒」の芸号である。2019年末、悪性リンパ腫のステージ4と診断され、半年間の抗がん剤投与を経て翌年5月に寛解。

西瀬戸メディアラボHP
http://www.nishisetomedia.jp/

三代目春駒オフィシャルHP
http://www.harukomania.com/

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