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それはまるでヒバクシャの追体験のごとし

2020/6/16(火)

私の半年に及んだ闘病生活を時系列で振り返るシリーズ、その5。

「治療プログラムには100%従いつつも
受け身になりすぎないための闘病スタイル:episode5」
〜副作用の本気モード。それはまるでヒバクシャの追体験〜

無菌室に入って2日目には白血球数がゼロに。
と同時に「待ってました」とばかり
免疫力が落ちた身体に、強い抗がん剤による
さまざまな副作用が襲いかかってきた。
全身の脱毛から始まり、
口の中全体が焼け野原になるようなひどい口内炎。
舌の縁も腫れ上がり、
食事の際、咀嚼するだけで涙が出るほどの激痛。
味覚と嗅覚もほとんど失せ、
食べること自体が苦行となった。
強く歯を磨くと出血するので
ハブラシの扱いにも慎重さが要求される。
なにしろ血小板も少なくなっているので
一度出血するとなかなか止まらないのだ。
また、指先のシビレにくわえ、
手の甲側の皮膚が黒ずんでひび割れる(写真参照)。
鼻をかむと鼻血。耳鳴り。
倦怠感もパワーアップし、なにをするにも
気合が必要となる。
そして、全身が揺さぶられるような
強烈な悪寒のあと、ついに発熱。
私の場合は、37.5〜38.5度あたりの熱が
数日間続いた(終盤の第4&5クールでは一度も発熱なし)。

で、ここで思い出したのが
幼少時からさんざん聞かされた親族の被爆証言だ。
というか私自身が被爆二世だったりする。
直接被爆、入市被爆(原爆投下後、エリアに入って被爆)に
関わらず、ヤケドをしていなくても
鼻血が出たり髪の毛が抜けはじめると
その人はかなりヤバイ状態。
夏なのにガタガタ悪寒がすると
いよいよ危険(「はだしのゲン」にもそういうシーンがある)。
吐血するともう長くない。
そこから数日間持ちこたえたとしても
顔が腫れあがり、歯が抜け出すと、
そのときはもう内臓がメチャメチャになっているから
諦めなければならない、、、、。
まさに私は「ガタガタ悪寒がする」までは
追体験しているわけだ。
さらに、ここ広島赤十字病院の
正式名は「広島赤十字・原爆病院」である。
原爆投下時には多くの犠牲者が運び込まれたし
今も被爆者の方が少なからず入院していらっしゃる。
そんな場の歴史も臨場感を高めるのだろう。
「そうか、こんな感じだったんだ。
俺は安全な無菌室にいるし、具合が悪くなれば
医者や看護師が総掛かりで迅速にケアしてくれる。
でも、これが医療体制や衛生管理など望むべくもない
1945年の夏のヒロシマだったら、、、」
そんなことにも思いを巡らしながら
抗生剤点滴や輸血を受けながら数日、
徐々に白血球が戻り始め
副作用も少しづつ収まっていった。

で、熱が下がったある日、
洗面所の鏡に映った
すっかり激ヤセしまくっている我が姿を見て思わず失笑。
「ガンジーか、おい!」
(つづく)
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プロフィール

三代目春駒/小林カズヒコ

Author:三代目春駒/小林カズヒコ
マーケティングコンサル、童話作家、声優、ミュージシャン、武術師範(心体育道小林道場師範)など、多方面のトップで活躍するハイブリッド系パフォーマー。能の謡(うたい)を京都在住の観世流シテ方能楽師、杉浦豊彦先生に師事。ちなみに「春駒」とは、芸者として博多で活躍していた祖母「春駒」の芸号である。2019年末、悪性リンパ腫のステージ4と診断され、半年間の抗がん剤投与を経て翌年5月に寛解。

西瀬戸メディアラボHP
http://www.nishisetomedia.jp/

三代目春駒オフィシャルHP
http://www.harukomania.com/

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